专利摘要:
本発明は、PAR1放出ペプチドのフラグメントに対して生じる抗体を、対象体からの体液試料において、前記対象体がガンをもつ場合にガン状態に関係するマーカーを検出しうるという所見に基づく。そのようにして、本発明は次のもの、すなわち、対象体におけるガン状態を定めることでの1種またはそれよりも多くを行うための方法およびパッケージを提供し、方法には、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めることが含まれ、そこでは、前記マーカーへの前記抗体の結合はガン状態を指し示すものであり;対象体におけるガン状態の重症度を定めることには、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めること、および結合のそのレベルを、PAR1放出ペプチドへの抗体結合のレベルをガン状態の重症度と相関させる先立って定められた規準(standards)のレベルと比較することが含まれ;および対象体への抗ガン剤によるその対象体の治療上の処置の有効性を定めることが含まれ、それには、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、2またはそれよりも多くの連続時点における前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めることが含まれ、1またはそれよりも多くの時点は、治療上の処置の間であり、そこではそのレベルでの違いが治療上の処置の有効性を指し示す。
公开号:JP2011511296A
申请号:JP2010545608
申请日:2009-02-05
公开日:2011-04-07
发明作者:バーシャヴィト ラチェル
申请人:ハダシット メディカル リサーチ サービシーズ アンド ディベロップメント リミテッド;
IPC主号:G01N33-574
专利说明:

[0001] 本発明の分野 この発明は、ガンの診断に、そしてより一層詳しくは対象体でのガン状態の免疫検出に関する。]
背景技術

[0002] 先行技術 以下は、本発明の分野における技術の状態を記述するために関係すると考えられる技術のリストである。ここでは、これらの参照の承認は、下記のリストからのブラケットの範囲内でそれらの数を指し示すことによって時々なされる。]
[0003] Claytor(クレイトル)RBら、Journal of Vascular Surgery(ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー)、Volume 37(第37巻)、Issue 2(第2刊)、Pages 440-445(第440〜445頁)。]
[0004] FurmanMI(ファーマンMI)、Liu L(リウL)、Benoit SE(ブノワSE)、Becker RC(ベッカーRC)、BarnardMR(バーナードMR)、Michelson AD(マイケルソンAD)。The cleaved peptide of the thrombin receptor is a strong platelet agonist(トロンビン受容体の開裂されたペプチドは強い血小板作用薬である。)Proc Natl Acad Sci U S A.(プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・スエーツ・オブ・アメリカ)1998年3月17日;95(6):3082-7。]
[0005] Coughlin SR(コグリンSR)。How the protease thrombin talks to cells(プロテアーゼのトロンビンはどのようにして細胞に向かって通信し合うか。)Proc Natl Acad Sci U S A. 1999年9月28日;96(20):11023-7。]
[0006] Lerner DJ(ラーナーDJ)、Chen M(チェンM)、Tram T(トゥラムT)、Coughlin SR。Agonist recognition by proteinase-activated receptor 2 and thrombin receptor. Importance of extracellular loop interactions for receptor function(プロテイナーゼ活性化受容体2およびトロンビン受容体による作用薬の認識。受容体機能のための細胞外ループ相互作用の重要性。)J Biol Chem.(ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー)1996年6月14日;271(24):13943-7。]
[0007] Hammes SR(ハムメスSR)、Shapiro MJ(シャピロMJ)、Coughlin SR.。Shutoff and agonist-triggered internalization of protease-activated receptor 1 can be separated by mutation of putative phosphorylation sites in the cytoplasmic tail(プロテアーゼ活性化受容体1のシャットオフおよび作用薬誘発内部移行(内面化)は、細胞質尾部において推定のリン酸化サイト(部位)の変異によって分離することができる。)Biochemistry(バイオケミストリー)。1999年7月20日;38(29):9308-16。]
[0008] Golz S(ゴルツS)、BrueggemeierULF(ブリューゲマイアーULF)およびSummer H(サマーH)。国際特許出願公報番号WO 2004/081044。]
[0009] Hoxie JA(ホキシーJA)、Brass L(ブラスL)。国際特許出願公報番号WO 2007/46879。]
[0010] 国際公開第2004/081044号
国際公開第2007/46879号]
先行技術

[0011] Claytor RB et al, Journal of Vascular Surgery, Volume 37, Issue 2, Pages 440-445.
FurmanMI, Liu L, Benoit SE, Becker RC, BarnardMR, Michelson AD. Proc Natl Acad Sci U S A. 1998 Mar 17;95(6):3082-7.
Coughlin SR. Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 Sep 28;96(20):l 1023-7.
Lerner DJ, Chen M, Tram T, Coughlin SR. J Biol Chem. 1996 Jun 14;271(24):13943-7.
Hammes SR, Shapiro MJ, Coughlin SR. Biochemistry. 1999 Jul 20;38(29):9308-16.]
発明が解決しようとする課題

[0012] 本発明の背景プロテアーゼ活性化受容体(PARs)は、タンパク質分解的切断によって独自に活性化する7つの膜貫通G結合受容体(GPCR)である。4つの異なるPARsは識別され(PAR1-4)、そしてすべてがセリンプロテアーゼの高選択グループに反応する。PARsは、タンパク分解的に修飾された環境に細胞を反応させるように、細胞外プロテアーゼ勾配の高感度センサーの働きをする。伝統的にPAR1が血栓症、止血および脈管生物学での役割を果たす一方、それは腫瘍生物学において驚くほど新しい割当(assinment)と共に現れる。これは、正常な、および病的な上皮におけるPAR1発現のパターンによって支持される。加えて、NIH3T3細胞におけるアンカレッジ(足場)依存増殖およびフォーカス形成活性の損失に基づくcDNA発現ライブラリースクリーンは、新しいガン遺伝子としてPAR1の分離(単離)を導いた。このようにして、PAR1はmasおよびg2aを含むガン遺伝子であるGPCRsのリストに加わる。PAR1の発ガン性特性は、腫瘍生検標本において、そして差動的に転移性な細胞系(differentially metastatic cell lines)において、ヒトPAR1(hPar1)遺伝子の高い発現レベル上の十分な証拠と一緒に、-PAR1発現および悪性の程度の間の直接的な相関関係を指摘する。PAR1は、原発性ヒトガンで、胸部(乳)のもの(Even-Ram S(イーブン-ラムS)ら、(1998)Nat Med.(ネイチャー・メディシン)4(8):909-14。);結腸(Vergnolle N(ヘルグモールN)ら、(2004)J Clin Invest(ザ・ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション)。114(10):1444-56;Darmoul D(ダルモウルD)ら、(2004)Mol Cancer Res.(モレキュラー・キャンサー・リサーチ)2(9):514-22。);前立腺(Chay CH(チャイCH)ら、Urology(ユーロロジー)(2002)60(5):760-5;Salah Z(サラZ)ら、(2005)FASEB J(FASEBジャーナル)19(1):62-72);卵巣(Grisaru-Granovsky S(グリサル-グラノフスキー)ら、2005年。Differential expression of protease activated receptor 1 (Par1) and pY397FAK in benign and malignant human ovarian tissue samples(良性および悪性のヒト卵巣組織試料でのプロテアーゼ活性化受容体1(Par1)およびpY397FAKの差次的発現。)Int J Cancer(インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー)113(3):372-8);およびメラノーマ(Nierodzik ML(ニーロドジクML)ら、(1998) Blood(ブラッド)。92(10):3694-700;Shi Xら(2004)Mol Cancer Res。2(7):395-402)のものを含む様々なものに関与することが示された。]
[0013] 発現についてのPAR1遺伝子およびタンパク質がインビボにおいて腫瘍の攻撃性と関係する事実は、腫瘍内転移(tumor dissemination)におけるその潜在的役割を反映し、そして抗ガン療法のための魅力的な標的としてそれを割り当てる。実際、PAR1は胸部腫瘍進行(プログレッション)では少なくとも中心的な役割を演じ、それはhPar1アンチセンス配列(プロモーターの部分およびタンパク質のスタート開始部位を含む462の塩基対のアンチセンス配列のプラスミド)の導入が、インビトロで、マトリゲル(Matrigel)で被覆したフィルターを通して移動するそれらの能力を減らすからである(Even-Ram Sら、(1998)Nat Med. 4(8):909-14)。]
[0014] 近年、PAR1から解放される41の残りポリペプチド(TR1-41)は、強い血小板作用薬であることが示された(Claytor RBら、Journal of Vascular Surgery(ジャーナル・オブ・バスキュラー・サージェリー)、第37巻、第2刊、第440-445 R頁)。
PAR1に関する若干の追加的な出版物は、次のものを含む。]
[0015] WO 2007/020645は、RNA干渉を介してプロテアーゼ活性化受容体1遺伝子発現を調整するために役立つ核酸分子、ベクター、組成物、および方法を記述する。とりわけ、その出版物は、低分子干渉RNA(siRNA)および低分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子およびプロテアーゼ活性化受容体1遺伝子の発現を調整するための方法を特色とする。]
[0016] WO 2004/081044は、心血管障害、皮膚科学の障害、胃腸および肝疾患、神経障害、ガン障害および泌尿器障害と関係するヒトPAR1を;これらの障害および疾患の処置または予防に役立つ化合物の識別のためのアッセイに対し、およびPAR1に結合し、および/またはその活性を活性化する、または抑制する化合物ならびにそのような化合物を含む製薬上の組成物に対するものを記述する。]
[0017] WO 2007/46879はトロンビン受容体の開裂されたペプチドフラグメントの存在を定めることが可能な検出のシステムを介してトロンビン誘導された細胞活性化を検出するための方法およびキットを記述する。]
課題を解決するための手段

[0018] 本発明の概略 本発明は、1つの局面に従って、対象体においてガン状態を定める方法を提供し、この方法は、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めることを含み、前記抗体の前記マーカーへの結合はガン状態を指し示す。]
[0019] 別の局面に従い 本発明は、対象体においてガン状態の重症度を定める方法を提供し、それには、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めること、および結合のそのレベルが、PAR1放出ペプチドへの抗体の結合のレベルをガン状態の重症度と相関させる先立って定めた規準のレベルと比較されることを含む。]
[0020] また別の局面によれば、本発明は対象体への抗ガン剤による対象体の治療上の処置の有効性を定めるための方法を提供し、それには、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、2またはそれよりも多くの連続時点における前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めることを含み、1またはそれよりも多くの時点は治療上の処置の間にあり、そこでそのレベルにおける違いは治療上の処置の有効性を指し示す。]
[0021] 1つの具体化において、PAR1放出ペプチドは、配列番号1として表される配列を含み、またはそれからなる。前記PAR1放出ペプチドのフラグメントは、1種の具体化に従い、ここで配列番号2または配列番号3、好ましくは配列番号3として識別される配列を含むか、またはそれからなる。]
[0022] 本発明はまた、別の局面に従い、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそのフラグメントに対して生じる抗体の、対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めるためのパッケージを提供し、それには以下が含まれる。
(i)プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそのフラグメントに対して生じ、および前記流体試料において存在する場合に、前記マーカーに結合するのが可能な少なくとも1種の抗体;
(ii)以下の
- −前記マーカーへの前記抗体の結合;
- −前記抗体の前記マーカーへの結合のレベル;
- −前記抗体の前記マーカーへの結合のレベルおよびPAR1放出ペプチドへの抗体結合のレベルをガン状態の重症度と相関させる先立って定められた規準のレベルの間の違い;
- −同じ対象体からの2つまたはそれよりも多くの連続流体試料における前記マーカーへの少なくとも1種の抗体の結合のレベルの違い
の1またはそれよりも多くを定めるための前記少なくとも1種の抗体の使用のための指示書。]
図面の簡単な説明

[0023] 本発明を理解し、そしてそれが実際にはどのように実行されるかを知るために、単に非限定的な例として、次に具体化を説明するが、添付の図面を参照し、それらは次のものである。]
[0024] 図1A-1Bは、ポリクローナル抗体の、PAR1放出ペプチドに由来するペプチド、すなわち、ウェスタンブロット分析によって得られるペプチドPAR1 rp2の異なる量(5、10、20、30ng)への結合を示し(図1A);結果はまた相対的バンド強度の関数として提示される(図1B)。
ポリクローナル抗体の、41のアミノ酸を含むPAR1放出ペプチド(サイズ(大きさ)において35kDaとしてゲル上に現れる)の異なる量(20、50および100ng)への、およびそれによって導き出されるペプチド、健康な対象体の血清中にスパイクされたPAR1rp2(大きさにおいて6kDaとしてゲル上に現れる)への結合を示すウエスタンブロット分析であり、それによって、PAR1rp2に対して生じるポリクローナル抗体がより一層大きなもの、PAR1放出ペプチドまたはそのフラグメントを、別の血清成分との複合体において認識することが論証される。
図3A-3Bは、ポリクローナル抗体の血清試料におけるマーカーへの結合のウエスタンブロット分析であり、図3Aは健康な対象体(H-n、nは異なる対象体を表す任意の整数である)からの血清試料を、そしてPAR1から導き出される合成ペプチド、PAR1 rp2(H-8+合成ペプチド)でスパイクされた健康試料のコントロール試料を例示し、そして図3Bはガン患者からの血清試料(C-n、nは異なるガン患者を表す任意の整数である)と対比する健康対象体のコントロール試料を例示し、コントロール試料はPAR1から導き出される合成ペプチド、PAR1rp2(+H)でスパイクされた。
図4A-4Cは、ポリクローナル抗体の、ステージIVガン患者(C-iまたはC-ii、iおよびiiは2名の異なるガン患者を表わす)からの血清試料におけるマーカーへの、抗ガン処置を受ける前(図4A)および抗ガン処置を受けた後(図4B)での、およびPAR1かれ導き出される合成ペプチド、PAR1rp2(+H)でスパイクされた健康な対象体からの血清のコントロール試料(図4C)のウエスタンブロット分析である。
図5A-5Cは、ポリクローナル抗体の、ガン患者(Cx、およびCyは、2名の異なるガン患者を表わす)から(図5A)、またはトラウマ(精神的外傷)の対象体(図5B)のトラウマの日(損傷の日(T))、またはポストトラウマの3日(T+3D)または6日(T+6D)からの血清試料におけるマーカーへの結合、およびPAR1から導き出される合成ペプチド、PAR1 rp2(+H)でスパイクされた健康な対象体からのコントロール血清試料(図5C)のウエスタンブロット分析である。
ポリクローナル抗体の、ガン患者(C-10、C-11、C-12、C-13、C-14およびC-15)の病気の異なるステージからの血清試料におけるマーカーへの結合、およびPAR1から導き出される合成ペプチド、PAR1 rp2(H-10+ペプチド)でスパイクされた健康な対象体(H-10)からのコントロール血清試料、またはペプチドを伴わないもの(H-10)のウエスタンブロット分析である。]
実施例

[0025] 本発明の若干の非制限的な具体化の詳しい説明 本発明は、短いアミノ酸ペプチド(ここでは、“PAR1rp2”と称され)に対して生じるポリクローナル抗体が、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドから導き出され、胸部ガン(乳ガン)患者から得られる血液試料の成分に結合することが可能であり、一方で、そのような結合が胸部ガンをもたない個体(健康な対象体)から得られる血液試料に関して検出されないという驚くべき所見に基づく。そのようにして、体液試料内で、例えば、血液試料のようなものの中でのPAR1放出ペプチドの検出は、試験された対象体のガン状態を反映(ミラーリング)することが予想され、そして従ってガン状態を定めるための診断ツールであることがここで提案された。]
[0026] このように、これらの所見に基づいて、ここで、対象体におけるでガン状態を定める方法が明らかにされ、この方法には、PAR1放出ペプチドまたはこれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めることが含まれ、前記抗体の前記マーカーへの結合は前記ガン状態を指し示す。]
[0027] 本発明はまた、抗体の血液成分への結合のレベルを定めることができ、そしてこれがガン疾患の重症度の決定を許すという所見に基づく。]
[0028] このようにしてまた、ここで対象体におけるガン状態の重症度を定めるための方法を開示し、これには、PAR1放出ペプチドまたは断片に対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めること、および結合のレベルが、PAR1放出ペプチドへの抗体結合のレベルをガン状態の重症度と相関させる先立って定められる規準のレベルと比較されることが含まれる。]
[0029] さらに、本発明は、抗ガン剤によるガンをもつ対象体の処置が抗体の血液成分への結合のレベルに影響を及ぼすという所見に基づく。]
[0030] このようにしてまた、抗がん剤による対象体の治療上の処置の有効性を定めるための方法が明らかにされ、それには、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出される断片に対して生じる抗体の、2またはそれよりも多くの連続時点における前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めることが含まれ、その1またはそれよりも多くは治療上の処置の間にあり、そこではそのレベルでの違いは、治療上の処置の有効性を指し示す。]
[0031] PAR1放出ペプチドは、PAR1から開裂された少なくとも5、好ましくは(なるべくなら)少なくとも6、およびより一層好ましくは少なくとも7のアミノ酸残基の配列を含む何らかのペプチドまたはポリペプチドであってよい(したがって、ペプチドは用語「PAR1-放出ペプチド」によって言及される)。少なくとも5、好ましくは少なくとも6、およびより一層好ましくは、少なくとも7のアミノ酸残基の配列は、キメラペプチド、すなわち、非関連配列(群)によって側面に位置される配列の一部分でありうる。]
[0032] 本発明の1種の具体化において、PAR1放出ペプチドは、PAR1のN末端から導き出される41のアミノ酸残基ペプチドであり、そして好ましくは配列は次のものからなる。
NH2-Met-Gly-Pro-Arg-Arg-Leu-Leu-Leu-Val-Ala-Ala-
Cys-Phe-Ser-Leu-Cys-Gly-Pro-Leu-Leu-Ser-Ala-Arg-
Thr-Arg-Ala-Arg-Arg-Pro-Glu-Ser-Lys-Ala-Thr-Asn-
Ala-Thr-Leu-Asp-Pro-Arg-COOH(配列番号1)]
[0033] 本開示によると、抗体は、前記PAR1放出ペプチドから導き出されるフラグメントに対して生じうる。フラグメントは、フラグメントの配列および元のPAR1放出ペプチドの配列が最適に整列する(一列に並ぶ)とき、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%およびさらに少なくとも99%の同一性をもち、5から41までの間、時々7-35の間、そしてさらに時々15-25の間のアミノ酸を含みうる。典型的に、少なくともおよそ5-10のアミノ酸配列は、抗体の生産を引き出すために必要とされる。このように、1種の具体化において、抗体は、フラグメントの配列および元のPAR1放出ペプチドの配列が最適に整列するとき、元のPAR1放出ペプチドと、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%およびさらに少なくとも99%の同一性をもつ少なくとも5-10の残基を含むペプチドに対して生じる。]
[0034] 用語「最適に整列する」は、最高のパーセントの同一性スコア(点数)を与える2つのアミノ酸配列(例は、PAR1放出ペプチドおよびそのフラグメント)の整列を意味するのに用いられる。]
[0035] 1種の具体化において、フラグメントはおよそ15から25までの間のアミノ酸残基の配列を含み、その配列は、2つのフラグメントおよびペプチドが最適に整列するとき、PAR1放出ペプチドの一部分と同一である。]
[0036] 本開示の内容において、フラグメントは、PAR1放出ペプチドから導き出され、フラグメントおよびPAR1放出ペプチドが最適に整列するとき、PAR1放出ペプチドにおける連続アミノ酸残基に対応する少なくとも5つの連続アミノ酸残基を含む何らかのアミノ酸配列である。別の具体化では、フラグメントおよびPAR1放出ペプチドが最適に整列するとき、フラグメントはPAR1放出ペプチドにおいて連続アミノ酸残基に対応する少なくとも5、6、7、8、9、または10の連続アミノ酸残基を含む任意のアミノ酸配列である。]
[0037] フラグメントにおいて少なくとも5、6、7、8、9、または10の連続アミノ酸残基は、前記PAR1放出ペプチドにおいて対応する連続アミノ酸残基と同一である場合があり、または元の配列の1またはそれよりも多くの保存的な修飾、すなわち、PAR1放出ペプチドの自然に生じる配列のものを含みうる。]
[0038] 用語「保存的な修飾」は、「元の」PAR1放出ペプチドへの修飾が、この技術において精通した者によって理解されるように、1またはそれよりも多くの自然に生じるアミノ酸の非自然発生アミノ酸による保存的交換(置換)、1またはそれよりも多くのアミノ酸の挿入または欠失ならびにアミノ酸の化学的修飾を含めて、意味されるのに用いられる。修飾はまた、ペプチドの骨格の範囲内での結合の変化も含みうる。]
[0039] 用語「自然に発生するアミノ酸」は、ペプチド内で見出される部分に言及し、そして-NH-CHR-CO-によって表され、式中、Rは20個の自然に現れるアミノ酸の側鎖に対応する。用語「非自然発生アミノ酸」(アミノ酸類似体)は、ペプチド模倣薬の有機部分、または以下の式をもつDまたはL残基のいずれかであり、すなわち、-NH-CHR-CO-、式中Rは脂肪族基、置換された脂肪族基、ベンジル基、置換されたベンジル基、芳香族基または置換された芳香族基で、そしてRは自然に発生するアミノ酸の側鎖に対応しない。この用語もまた、自然に発生するアミノ酸のD-アミノ酸対応物に言及する。アミノ酸類似体はこの技術においてよく知られ、これらの類似物の大多数は商業上入手可能である。]
[0040] 本発明の関連において用語「保存的な交換」は、類似する立体的特性をもつ自然に、または非自然に生じるアミノでの、PAR1放出ペプチドにおいて存在する元のアミノ酸残基の交換に言及する。交換される元のアミノ酸残基の側鎖は極性であるか、または疎水性のいずれかである場合、保存的な置換は、自然に生じるアミノ酸または非自然発生アミノ酸でなければならず、それはまた、極性または疎水性であり(交換されたアミノ酸の側鎖と同じ立体的特性をもつことに加え)、交換される元のアミノ酸が荷電される場合、保存的置換は自然に生じるアミノ酸、または非自然発生アミノ酸でなければならず、それらは荷電され、または元の荷電されたアミノ酸は、交換されたアミノ酸の側鎖と同じ立体的特性をもつ非荷電(極性の、疎水性の)アミノ酸で交換されうる。]
[0041] 本発明に従って例えば、以下の置換は保存的であると考えられる。すなわち、シトロリン(cytroline)によるアルギニン;グルタミンによるアルギニン;アスパラギンによるアスパラギン酸塩;グルタミンによるグルタミン酸塩の交換。]
[0042] 非自然発生アミノ酸による保存的な置換を生じさせるために、この技術においてよく知られるアミノ酸類似体(合成アミノ酸)を用いることも可能である。自然に生じるアミノ酸のペプチド模倣薬は、熟練した実務家に知られている資料(literature)において十分に文書化される。以下は自然に生じるアミノ酸の基の若干の非限定的な例であり、あるいは、アミノ酸の類似物のものは以下にリストされる(bellow)。グループ(群)の別のメンバー(構成員)によるグループにおける1つのメンバーの交換は保存的な置換としてここで考慮される。]
[0043] グループIには、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、システイン、トレオニンおよび以下の側鎖:エチル、n-ブチル、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CHOHCH3および-CH2SCH3をもつ修飾されたアミノ酸が含まれる。好ましくは、グループIには、ロイシン、イソロイシン、バリンおよびメチオニンが包含される。]
[0044] グループIIには、グリシン、アラニン、バリン、セリン、システイン、トレオニンおよびエチル側鎖をもつ修飾されたアミノ酸が含まれる。好ましくは、グループIIには、グリシンおよびアラニンが包含される。]
[0045] グループIIIには、フェニルアラニン、フェニルグリシン、チロシン、トリプトファン、シクロヘキシルメチル、および置換されたベンジルまたはフェニル側鎖をもつ修飾されたアミノ残基が含まれる。好ましい置換基には、以下の1またはそれよりも多くが包含される。すなわち、ハロゲン、メチル、エチル、ニトロ、メトキシ、エトキシおよび-CN。好ましくは、グループIIIには、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンが包含される。]
[0046] グループIVには、グルタミン酸、アスパラギン酸と、グルタミン酸またはアスパラギン酸の置換されたか、または非置換の脂肪族、芳香族またはベンジルのエステル(例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル、ベンジルまたは置換されたベンジル)、グルタミン、アスパラギン、CO-NHアルキル化グルタミンまたはアスパラギン(例は、メチル、エチル、n-プロピルおよびイソプロピル)および側鎖-(CH2)3COOHをもつ修飾したアミノ酸、そのエステル(置換または非置換の脂肪族、芳香族またはベンジルのエステル)、そのアミドおよびその置換または非置換のNアルキル化アミドが含まれる。好ましくは、グループIVには、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸メチル、アスパラギン酸エチル、アスパラギン酸ベンジルおよびグルタミン酸メチル、グルタミン酸エチルおよびグルタミン酸ベンジルが含まれる。]
[0047] グループVには、ヒスチジン、リジン、アルギニン、N-ニトロアルギニン、β-シクロアルギニン、μ-ヒドロキシアルギニン、N-アミジノシトルリンおよび2-アミノ-4-グアニジノ酪酸、リジンのホモログ(相同体)、アルギニンの相同体およびオルニチンが含まれる。好ましくは、グループVには、ヒスチジン、リジン、アルギニン、およびオルニチンが包含される。アミノ酸の相同体は、1つからおよそ3つまでの付加的メチレン単位をその側鎖に含む。]
[0048] グループVIには、セリン、トレオニン、システインおよび-OHまたは-SHで置換されたC1-C5の線状または分枝状のアルキル側鎖をもつ修飾されたアミノ酸が含まれる。好ましくは、グループVIには、セリン、システインまたはトレオニンが包含される。]
[0049] 用語「欠失」には、ここで用いられるように、それが導き出される元の分子と比較して、1またはそれよりも多くのアミノ酸残基(自然に生じ、非自然発生、またはペプチド模倣薬の有機部分)の除外が含まれる。]
[0050] 用語「挿入」または「付加」には、ここで用いられるように、それが導き出される元の分子と比較して、1またはそれよりも多くのアミノ酸残基(自然に生じ、非自然発生、またはペプチド模倣薬の(有機部分)の付加が含まれる。]
[0051] 用語「化学修飾」には、ここで用いられるように、アミノ酸残基の側鎖での修飾、ならびにペプチド結合の修飾が含まれる。したがって、官能基は側鎖に付加し、側鎖から削除し、または別の官能基と入れ替えうる。典型的に、修飾は保存的な置換をもたらす保存的修飾である。このタイプの保存的な修飾の例は、アミンまたはヒドロキシ基、カルボン酸を、バリン、ロイシンまたはイソロイシンの脂肪族側鎖に加え、アスパラギン酸またはグルタミン酸の側鎖においてカルボン酸をアミンで入れ替え、またはリジンまたはオルニチンの側鎖においてアミン基を削除することを含む。この技術において既知の他の化学的修飾には、カルボキシメチル化(arboxymethylation)、アシル化、リン酸化、グリコシル化または脂肪酸アシル化(fatty acylation)、およびその他が含まれる。]
[0052] 用語「化学修飾」にはまた、ペプチド骨格内での結合の変化が含まれ、すなわち、1つのアミノ酸残基のN-から次のC-までの間の結合が還元(-CH2-NH-へ)、窒素原子上のアルキル化(メチル化)によって非自然発生の結合にまで変えられ、またはそれらの結合は、アミド結合、尿素結合、またはスルホンアミド結合、エーテル結合(-CH2-O-)、チオエーテル結合(-CH2-S-)によって、または-C-S-NH-までに交換された;残りの側鎖は、Nアルキル化されたGly(peptidoid、ペプチド類似物)を得るために、骨格窒素へシフトされうる。修飾にはまた、例は、S-S結合を形成することによる、アミノ酸分子の環化を含む。S-S結合は、イオウ含有(sulphor-containing)アミノ酸残基で、アミノ酸分子の各々の端部でのシステインのようなものの包含を介して形成されうる。環状ペプチドはより一層高度に安定であることが示され、そして対応する線形分子よりも高い生物学的活性を有することが示された[Jining(チーニン)L.ら、Eur. J. biochem(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー)271:2873-2886(2004)]。]
[0053] 種々のフラグメント(断片)は、そこで生じさせるために、本開示に従って抗体に対して利用されうる。以下の例では、PAR1-放出ペプチドから導き出される2つの合成ペプチドは、選ばれ、そして調製された(N末端Cys残基は抗体生産の目的のために加えられる)。]
[0054] ペプチドPAR1 rp1は次の配列をもつ。すなわち
NH2-C-S-A-R-T-R-A-R-R-P-E-S-K-A-COOH(配列番号2)
ペプチドPAR1rp2は次の配列をもつ。すなわち
NH2-R-R-L-L-L-V-A-A-C-F-S-L-C-G-P-L-L-S-A-R-COOH
(配列番号3)]
[0055] 本開示の関係では、ペプチドPAR1rp2が本発明の方法で採用される抗体を生じさせるためのPAR1放出ペプチドの好ましい断片である点に注目される。]
[0056] 用語「マーカー」を、ここでは任意のポリマー、オリゴマーまたは小さな分子量化合物を含む体液試料の任意成分を意味するために用いる。1種の好ましい具体化において、マーカーは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含むアミノ酸含有分子である。別の具体化において、マーカーには、PAR1放出ペプチドまたはその断片が含まれる。マーカーには、遊離の形態で、または流体試料において存在する別の1またはそれよりも多くのポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質との複合体の形態で、PAR1放出ペプチドまたは断片が含まれうる。1種の具体化において、マーカーは、以下にさらに言及するように、1またはそれよりも多くの血液タンパク質(血漿タンパク質)との複合体の形態である。]
[0057] ある具体化によると、流体試料は、体(身体)からの流体であり、全血、血しょう、血清、羊水、脳脊髄液、腹水の流体(腹水)または尿から選ばれる。好ましくは、体液試料には、血液または血清が含まれる。]
[0058] ここに明らかにされる方法によって利用される抗体は、1またはそれよりも多くのPAR1放出ペプチドと結合することが可能である。抗体は、ここに定められるように、PAR1放出ペプチドまたはPAR1放出ペプチドから導き出される断片を利用することによって生じさせる。抗体は、多クローン性(ポリクローナル)抗体または単クローン性(モノクローナル)抗体の任意の1種でありうる。]
[0059] ポリクローナル抗体の生産のために、ヤギ、ラビット、ラット、マウス、その他を含む種々の宿主を、PAR1放出ペプチドでの注入(注射)によって免疫化することができる。宿主種に応じて、種々のアジュバントをまた、免疫学的反応を増やすために用いうる。そのようなアジュバントには、制限されないが、フロイントのもの、水酸化アルミニウムのような鉱物のゲル類、および表面活性物質で、例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペット(スカシ貝)ヘモシアニン、およびジニトロフェノールのようなものが含まれる。BCG(桿菌Calmette-Guerin(カルメット-ゲラン))およびコリネバクテリウム・バルバム(Corynebacterium parvum)は、潜在的に役に立つアジュバントである。]
[0060] モノクローナル抗体もまた用いることができる。モノクローナル抗体は培地において連続細胞系による抗体分子の生産のために提供する任意の技術も使用して調製することができる。これらには、制限されないが、最初にKoehler(ケーラー)およびMilstein(ミルシテイン)によって記述されるハイブリドーマ技術(Nature(ネイチャー)256:495-497、(1975年))、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor(コスボア)ら、Immunol. Today(イムノロジー・トゥデイ)、4:72、(1983年);Cote(コート)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、80:2026-2030(1983年))、およびEBV-ハイブリドーマ技術(Cole(コール)ら、Mol. Cell Biol.(モレキュラー・アンド・セル・バイオロジー)、62:109-120(1984年);Chartrain(シャルトレイン)M、Chu(チュー)L.、Development and production of commercial therapeutic monoclonal antibodies in Mammalian cell expression systems: an overview of the current upstream technologies(哺乳類細胞発現システムにおける商業的な治療上のモノクローナル抗体の開発および生産:目下の上流の技術の概要)。Curr Pharm Biotechnol.(カレント・ファーマシューティカル・バイオテクノロジー)2008年;9(6):447-67;Price PWら、Engineered cell surface expression of membrane immunoglobulin as a means to identify monoclonal antibody- secreting hybridomas(モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを識別するための手段として、膜免疫グロブリンの設計された細胞表面発現)。J Immunol Methods(ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッヅ)。2009年;Fransson(フランソン)J、Borrebaeck(ボレベック)CA.、Selection and characterization of antibodies from phage display libraries against internalizing membrane antigens(内部移行膜抗原に対するファージディスプレーからの抗体の選定および特徴付け)。Methods Mol Biol.(メソッヅ・イン・モレキュラー・バイオロジー)2009年;480:113-27)。]
[0061] 用語「ガン」は、本発明に従い、細胞が異常に高くおよび抑制されてない比率で増殖する(proliferate)任意の条件を意味し、その率は正常な組織の成長よりも速い。概して、ガンは広く3つの主要なタイプに分類することができ、すなわち、上皮性構造(癌腫と呼ばれる)から生じている悪性腫瘍;結合組織で、筋肉、軟骨、脂肪または骨のようなものが起源である悪性腫瘍(肉腫と呼ばれる);および免疫システム(系)の成分を含む造血性構造(血球の形成に関連する構造)に影響を及ぼしている悪性腫瘍(白血病およびリンパ腫と呼ばれる)。他の新生物には、制限されないが、神経線維腫症が含まれる。]
[0062] 本発明の方法は、固形腫瘍に特に関連する。ここに使われるように、用語「固形腫瘍」は塊(腫瘤)を形成する任意の腫瘍に言及する。腫瘍塊は、構造的構成および正常な組織との機能的な協調の部分的または完全な欠如を示すことがあり、そして原発性腫瘍塊または二次性腫瘍塊でありうる(即ち、原腫瘍サイトから血管およびリンパ管を通した細胞遊走の結果として)。固形腫瘍の例には、制限されないが、脳、前立腺、胸部、コロン(結腸)、肺、腎臓、膀胱、肝臓、骨、頭、首、胃、喉頭、食道、卵巣、頸部の腫瘍、肝細胞ガン、肺ガン、直腸、結腸直腸、および消化管、子宮、卵巣、皮膚(例は、転移性黒色腫)、子宮内膜、すい臓および精巣での他のサイトの腫瘍が含まれる。]
[0063] PAR1が双方の原発性および二次胸部ガン生検(データは示してない)において発現することが見出された点に注目される。このように、本発明は双方の原発性ならびに二次ガンを定めるために適用可能である。]
[0064] 1種の具体化において、それに制限されることなく、ガンは二次ガン、即ち、転移性ガンである。]
[0065] 1つの好ましい具体化に従って、ガンは原発性または二次性の胸部ガンである。]
[0066] ここに明らかにされる方法は、ガン状態、ガンの重症度ならびにガンの任意のステージ(段階)での処置の効率を定めるため、ならびに再発ガンを定めるために適用可能である。]
[0067] 全体として、ガンのステージは、ローマ数字病期診断(Roman Numeral Staging)として称することができる。このシステムは、ガンの進行を記述するために、数字I、II、III、およびIVを用いる。したがって、ガンのステージは、概して以下を含む。すなわち]
[0068] ステージI:ガンは身体の1部分に局在した;ステージIIまたはIII:ガンは局所的に進行した(病期診断はガンの種類に依存する);ステージIV:ガンは、転移したか、または他の器官に、または身体中に拡がった。]
[0069] 結合のレベルは、量的ならびに質的な計測によって定めることができる。量的測定に言及するとき、それは結合した抗体の、または非結合抗体の濃度を定めることを含むことができる(例は、遊離抗体への結合が可能なマークされた薬剤を用いて定められる)。このレベルが疾患の程度または重症度と相関する点に注目される。高レベルは(予め定められた閾値より上に、または高いガンのステージと対応する演繹的な規準との相関関係において)重症(sever)状態を指し示す。処置の有効性を定める方法に関し、そして同様に、レベルにおける減少は、ガンをもつ対象体の条件における改善での、例は、抗ガン処置の結果としての指示である。]
[0070] 用語「予め定められた閾値」または「先立って定められた基準」は本明細書において、参照値、または健康な状態の、または病気(疾患)の特定のステージ(病気の重症度の程度)を指し示す値の範囲を意味するために用いる。健康な状態の予め定められた閾値(または先立って定められた規準)に言及するとき、閾値(規準)は、健康な対象体の統計上有意な群からのPAR1放出ペプチドの平均化したレベル、またはさもなければ健康な対象体の統計上有意な群において、PAR1放出ペプチドのレベルから導き出される値または値の範囲と相関することができる。病気の特定のステージの予め定められた閾値または先立って定められた規準に言及するとき、閾値(規準)は、病気の特定のステージにおいて病気をもつとして診断された患者(受動体)の統計上有意な群でのPAR1放出ペプチドのレベルに基づいて定めることができる。群を規定するために用いる対象体の数を選ぶ方法は、統計分析に精通した者に知られているべきである。さらに、病気の特定のステージの予め定められた閾値または先立って定められた規準に言及するとき、閾値(規準)は、ある時点で、対象体がまずガンをもつとして診断されたときか、または後の時点であるとき、試験された対象体から採取される流体試料におけるPAR1放出ペプチドのレベルに基づいてに定められる参照点であることができる。対象体の状態のフォローアップ診断のための参照点であるその時点でのレベルは、本発明の方法を活用する。]
[0071] このように、この具体化によれば、1またはそれよりも多くの第1の試料は、治療上の処置の開始に先立つ時点で採取され(これは参照点である)および1またはそれよりも多くの第2の試料は、処置の間の時点で採取され、そこでは、少なくとも1種の第2の試料において見られる結合の、第1の試料について測定されるものと比較した減少は、処置が効果的であることを指し示す。]
[0072] あるいはまた、1またはそれよりも多くの第1の試料は、処置の間ある時点で採取され、そして1またはそれよりも多くの第2の試料は、1またはそれよりも多くの第1の試料の時点の後に、処置の間ある時点で採取され、それで、1またはそれよりも多くの第1の試料と比較して1またはそれよりも多くの第2の試料における結合のレベルでの減少は、その処置が効果的であることを指し示すほでである。]
[0073] さらに、あるいはまた、1またはそれよりも多くの第1の試料は、処置の間ある時点で採取され、そして1またはそれよりも多くの第2の試料は、処置が中止された後ある時点で採取され、そこでは1またはそれよりも多くの第2の試料における結合のレベルでの、1またはそれよりも多くの第1の試料と比較しての増加は、処置が効果的であることを指し示す。]
[0074] 多くの異なる検出システムは、この技術において既知であり、そして本発明の関連において利用することができる。これらには、競争的な、および非競争な結合アッセイが含まれる。そのようなシステムには、それに制限されることなく、ラジオイムノアッセイ(放射免疫測定法)(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)、酵素結合免疫測定法(ELISA)、「サンドイッチ」免疫測定法、免疫沈降反応、ゲル拡散反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光免疫測定、蛍光偏光、プロテインA免疫測定法、および免疫電気泳動法アッセイのような技術が含まれる。すべてのこれらの異なる検出システムは、マーカーの直接検出のために、または競争的反応によって用いることができる。]
[0075] 1種の具体化において、検出は「サンドイッチ」免疫測定法に基づき、そこでは抗体、好ましくはモノクローナル抗体は、固体支持体に結合される。流体試料は次いで、固体支持体と接触され、そして流体試料における任意のマーカーは結合した抗体によって捕らえられる。マーカーと結合する第2の抗体は次いで固体支持体と接触して置くことができる。試料におけるマーカーの量は次いで、結合された第2の抗体の量を検出することによって定めることができる。]
[0076] 第2の抗体は例えば、それに制限されることはないが、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタアルデヒド(phthaldehyde)およびフルオレサミンのような蛍光化合物で;それに制限されることなく、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルのような化学ルミネセンス(発光)化合物;それに制限されることなく、ルシフェリン、発光酵素(発光酵素)およびエクオリンのような生物発光タンパク質;そして、放射性核種で標識化(ラベル)することができる。]
[0077] また、ここでは、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドに対して生じる抗体またはその断片の、対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めるための診断上のパッケージを明らかにし、それには次の、
(i)プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそのフラグメントに対して生じ、そして前記流体試料において存在する場合に前記マーカーに結合することが可能な少なくとも1種の抗体、
(ii)次の
− 前記マーカーへの前記抗体の結合、
− 前記マーカーへの前記抗体の結合のレベル、
− 前記マーカーへの前記抗体の結合のレベルと、PAR1放出ペプチドへの抗体結合のレベルをガンの状態の重症度と関連させる先立って定められた基準のレベルとの間の違い、
− 同じ対象体からの2つまたはそれよりも多くの連続的な流体試料における前記マーカーへの少なくとも1種の抗体の結合のレベルでの違い
の1種またはそれよりも多くの決定用の前記少なくとも1種の抗体の使用のための指示書
が含まれる。]
[0078] パッケージは、以下の追加的な成分の1またはそれよりも多くを含むことができる。すなわち
−流体試料において存在する場合、前記マーカーと結合することが可能な1またはそれよりも多くの追加的な抗体で、1またはそれよりも多くの追加的な抗体は随意に、固体支持体に結合され、1またはそれよりも多くの追加的な抗体は、上述のように、標識化されることができ;
− 前記1またはそれよりも多くの追加的な抗体の使用のための指示書
である。]
[0079] 1またはそれよりも多くの抗体は、PAR1放出ペプチドまたはその断片と結合することが可能でありうる。しかし、若干の他の具体化は、1またはそれよりも多くの抗体が1またはそれよりも多くのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質、PAR1以外、PAR1放出ペプチドまたはその断片に、つまり、PAR1、PAR1放出ペプチドまたはその断片との複合体の形態において流体試料で存在するものへの結合が可能でありうる。これは、PAR1、PAR1放出ペプチドまたは断片の複合体の形態での検出を許容する。タンパク質、PAR1以外、PAR1放出ペプチドまたはその断片の例には、本発明の関連において複合体の1部分を形成することができ、それに制限されることはないが、カルボキシペプチダーゼNおよび補体成分4(C4)が含まれる。]
[0080] 以下の非制限的な例は、例示目的のためにだけ提供される。
非制限的な例
概要]
[0081] PAR1放出ペプチドの2つの(わずかに重なり合う)領域を表す2つの短い合成ペプチド、PARrlp1(配列番号2)およびPAR1rp2(配列番号3)を調製した。それらの配列は、PAR1放出ペプチドの配列に基づいて示され、41のアミノ酸からなる、そして以下の配列をもつ。すなわち



ポリクローナル抗体は、下記のようにこれらの2つの短い合成ペプチドに対して生じた。]
[0082] 概して、抗体は以下を含む。すなわち
− CUK-158ポリクローナル抗体はPAR1rp1に対して生じた。
NH2-C-S-A-R-T-R-A-R-R-P-E-S-K-A-COOH。配列番号2;
− ポリクローナル抗体はPAR1rp2に対して生じた。
NH2-R-R-L-L-L-V-A-A-C-F-S-L-C-G-P-L-L-S-A-R-CONH2、配列番号3、それはまた、下記で実証された免疫検出アッセイにおいて用いた。]
[0083] PAR1rp2に対して生じる抗体はセファロースビーズ上で固定化した。抗体結合(共役)ビーズは、健康なものから、または乳ガンをもつと診断された患者(以下に議論するように、化学療法上の処置の前または後のいずれでも)から取得した血清試料と接触させた。血清試料を含むビーズは次いで、免疫検出アッセイを受けさせた。
材料および方法]
[0084] ペプチド合成およびポリクローナル抗体生産
合成ペプチドおよびポリクローナル抗体を、COVALAB S.A.R.L.(コバラボ株式会社)(フランス)によって生産された)。]
[0085] NHS活性化セファロースに対する抗体のカップリング
結合緩衝剤溶液は、1mM HCl、0.1MトリスpH 8、0.1Mのアセテート緩衝剤、0.5MNaCl、pH 4.5、カップリング緩衝剤:0.2MのNaHCO3、0.1M NaCl pH 8.3)を含んで調製され、そして4℃で貯蔵された。]
[0086] 抗体を、カップリング緩衝剤溶液に移し、そしてアミコン(amicon)ウルトラ4(カットオフ30,000MWCOを有するUltracel(ウルトラセル)30k)を使用して濃縮した。グリシンを用いるすべてのTris(トリス)の中和を確かめた(トリスはビーズへの結合を妨げるかもしれない)。]
[0087] 抗体を加える前にビーズを洗浄するステップ(工程)は、NHS活性化セファロース(Amersham(アマシャム社)、Daniel Biotec representative(ダニエル・バイオテック・リプレゼンテーティブ))の1mlを使って1.3mgの抗体(通常0.5 ml)のために実行された。NHS活性化セファロースはさらに、使用の直前に冷えた1mM HClの10-15ml(中間の容量)で洗浄した。]
[0088] NHS活性化セファロースに対し、抗体を加えた(比率は、1.3mgの抗体につき1mlのNHSビーズであった)。容量は次いで3mlにし、そしてpHを6-8に調節した(カップリング緩衝剤および1mM HClを使う)。]
[0089] 混合物を、3時間室温で回転させ、そしてビーズを10-15の中間容量の(medium volumes)の冷えたカップリング緩衝剤で洗浄した。洗浄の間、1,200rpmで、混合物を1分間、スピンダウン(遠心沈殿)させた。]
[0090] ビーズのブロッキングを、10-15の中間容量の冷たい0.1MのトリスをpH 8で加えることによって達成し、その後一昼夜4℃で(ブロッキングのための最小限の時間-3h)の間の回転を続けた。]
[0091] ビーズを次いで、高いおよび低いpH緩衝剤を交替させる方法を用いて洗浄した。具体的には、ビーズを10mlの0.1MのトリスpH 8.0で、そして次いで10mlの0.1Mのアセテート緩衝剤0.5MのNaCl、pH 4.5で洗浄した。この洗浄を、3回繰り返した(1,200rpmでの1分のために回転する)。ビーズは次いで、NaN3を有する1×PBSにおいて4℃で保存した。
抗体ビオチン化]
[0092] セファロースビーズに対する抗体のカップリングに代わるものとして、抗体をビオチン化することができる。このため、抗PAR1rp2抗体(1mgを0.1MのNaHCO3 pH 8緩衝剤溶液に移され、およびCentricon(セントリコン)(カットオフ30,000MWCOを有するアミコンウルトラ-4 ウルトラセル30k)を用いて濃縮した。トリスはグリシンを使って中和される。次いで、上側相(セントリコン〜0.5 mlにおいて)からの容量を、エッペンドルフ(eppendorf)チューブへ移し、そして0.1MのNaHCO3 pH 8で、2mg/mlまで希釈される(1mgを、例えば0.5ml中にするべきである)。抗体は次いで、小さな磁性撹拌機を用いガラスチューブに移す。ビオチン原液を、100μlのDMFにおいて4.3mgのビオチンから調製する。ビオチン(0.22mg、Roche cat no.(ロシュ・カタログ番号)11008960001)をすべての1mg抗体に添加する。チューブを次にアルミホイルでおおい、そして3時間4℃、そして次いで室温で1時間撹拌する。]
[0093] 反応は、抗体-ビオチン溶液の各々の100μlに、1M NH4Clの1μlで停止し(比率1μl:100μl)、そして室温で10分間撹拌し、そしてスピンダウンする(プラスチック50mlのチューブにおいて1分、1,200rpm)。]
[0094] 結果として生じるビオチン化された(biotinilated)抗体はセントリコンチューブ(カットオフ30,000MWCOを有するアミコンウルトラ-4ウルトラセル30k)へ移し、そしてPBSで一回洗浄そ、そしてPBS(1×PBS溶液)を加える。]
[0095] 結果として生じるビオチニル化(biotinilated)は次いで、グリセロールにおいて1:1で希釈し、そして-20℃で保存する(PBSおよびグリセロールにおいて2.8mg/mlで最終的に1.4mg/ml)。ビオチニル化された抗体はいくつかのチューブに分けられて、そして保存される。
血液試料調製]
[0096] 新鮮な血液試料を患者から抜き出した。試料を、10分間37℃でチューブにおいてインキュベーションした。次いで、試料を、10分間3000rpmで、20℃(室温、RT))にて回転させた。各チューブから、キャップ付きの1.5mlのマイクロチューブでの1mlの血清試料を氷上にのせ、そして次いですぐに-80℃で凍らせた。血清のアリコートが1mlの部分において維持されたことはさらに注目される。]
[0097] セファロースビーズに結合したPAR1rp2抗体での血清からのPAR1放出ペプチドの免疫沈降(Immuoprecipitation)
凍った(-80℃フリーザー)血清サンプル(1ml)を、プロテアーゼインヒビターのカクテル(Sigma(シグマ社))の15μlと混合した。プロテインAビーズ(100μl)を次いで加えた(プロテインAビーズは交換され、またはプロテインGビーズと組み合わすことができ)、そして混合物を4℃で1時間回転させた。]
[0098] 血清試料/ビーズ混合物を次いで遠心沈殿させ、そして新しいエッペンドルフへ移され、それに500μlの1×PBSおよびセファロースビーズにカップリングされた80μl のPAR1 rp2抗体(PBSにおいて1:2のストークから;40μlパック(packed)+40μl PBS)が加えられ、そしてさらに混合物を2時間 4℃回転させた。]
[0099] ビーズを添加した後1時間、追加の血清試料を患者から採取し、そして上記の手法を繰り返した。試料を次いで遠心沈殿させた。]
[0100] 抗体結合ビーズを次いで、50mMトリス、150mM NaCl(pH 7.4)の800μlで4回洗浄した。]
[0101] 免疫沈降されたタンパク質の溶出を、0.1MグリシンpH2の50μlをビーズに加えることによって達成し、そして氷上で10分間それをインキュベートし、そして次いで回転させた。溶出物(elute)をトリス(10μl、pH 8、pHの中和を得るために)で新しいエッペンドルフに移した。]
[0102] 最後に、非還元性試料緩衝剤の20μlおよび5分の間沸騰した。結果として生じる試料を-20℃で保存した。
抗PAR1rp2ビオチン化抗体によるウエスタンブロット分析]
[0103] 最初に、ブロッキングをTTBSにおいて試料3%のBSAを添加することによって起こして、RTで1時間振盪した。]
[0104] 試料に対し、TTBS(1:4000)における3%のBSAでの抗PAR1rp2(「第1の抗体」)に、25μg(マイクログラム)の抗体を添加した。混合物をRTで10分間振盪し、4℃で一晩インキュベートした。夜通しのインキュベーションの後、試料を15分間再び振盪した。
試料を次いでTTBS 8×5分にて洗浄した。]
[0105] 試料に対し、TTBS(1:10,000)における3%のBSAにおいて第2の抗体、ストレプトアビジン-HRP)(Jackson(ジャクソン)、USA 2μg)を添加し、RTで30分間振盪した。試料を、TTBS 8×5分において洗浄した。
試料をECL(Pierce(ピアス社))試薬を使って検出した。]
[0106] 10%-18%のゲルの調製
ゲルは2つのゲル類を含み、より一層低い(ランニング)ゲルは以下の様式において構成される。すなわち、4mlの18%のポリアクリルアミドゲルのより一層低いランニングゲルは、後にトップ(頂部)で別の4mlの10%のポリアクリルアミドゲルが続いた。ゲル類は、過硫酸アンモニウム(ammnioum persulfate)(10%APS)およびTemed(テムド)を加えることによって固められた。ランニングゲルが固体になった後、3.5mlの上側ゲルの上側層を注いだ。
例1-ポリクローナル抗体のPAR1放出ペプチドへの結合]
[0107] 最初の実現可能性試験として、PAR1 rp2からPAR1放出ペプチドまでに対して生じるポリクローナル抗体の結合を、ウエスタンブロット分析を使って検査された。図1Aおよび1Bは、合成ペプチドPAR1 rp2(サイズで6Ka)の異なる量の結合を示し、そして図2はポリクローナル抗体の、短い合成ペプチド(PAR1rp2;6Ka)への、ならびにインタクト(無傷の)ペプチド、すなわち、PAR1放出ペプチド(サイズで〜35kDa))への結合を示す。
例2-ポリクローナルPAR1 rp2抗体を用いるガン状態の検出]
[0108] PAR1rp2-抗体を、上述のように、セファロースビーズ上で固定化した。抗体結合ビーズを、健康体から、または乳ガンをもつと診断された患者から得られる血清試料と接触をさせた。]
[0109] 各試験した試料を次いで、0.1MのトリスpH8.0によって中和したグリシン緩衝剤(pH 2.0)でビーズから溶出させた。抽出された材料に対し、試料緩衝剤を添加し、煮沸し、そしてSDS-PAGEゲル上で分離された。ゲル(上述のようなもの)を、フィルター膜にブロッティングし、検出のために抗PAR1rp2と反応させた。ゲルを、ブロッティング後、拭いた後に、クーマシーブルー(comassie blue)で染色した。]
[0110] 乳ガンをもつと演繹的に診断された合計22名の個体、および非ガン関連(non-cancer bearing)(健康な)対象体として確かめられた24名の個体を検査した。ここに明らかにされる検出方法を用いて、22名の患者が、PAR1rp2に対して生じるポリクローナル抗体によって認識されたガンマーカーをそれらの血清に運び込むことが見出された。健康な対象体はどれも、このマーカーを運ぶことは見出されなかった。]
[0111] 加えて、ウエスタンブロット分析は、若干の無作為に選定された、代表ではあるが、その試験された試料について行われ、そしてそれらの結果を図3A-3Bにおいて示す。具体的には、マーカーの存在を健康な対象体(図3A)からの試料において検出されなかった。これは、合成ペプチドPAR1rp2での健康な対象体からの血清試料のスパイクによって確かめられた。他方、ガンを負う患者からの血清試料のマーカーの存在が明らかに定められた(図3B)。
例3-処置の有効性の評価]
[0112] ここに明らかにする1種の局面は、ガンを負う対象体に関して抗ガン処置の効果を監視するためにPAR1放出ペプチドから導き出されるペプチドに対して生じるポリクローナル抗体の使用に関する。PAR1放出ペプチド、ガン血清患者において検出され、所定の抗ガン処置に対する患者の反応のための信頼できる指標としてはたらくことができることが示唆された。]
[0113] 下記の例では、血液は2名のステージIVガン患者から収集した(2つの時点で、第1の血清試料を得るために、抗ガン処置前の第1の時点を与え、そして第2の時点はシクロホスファミドメトトレキサート5FFUのカクテル(混合物)での8ヵ月の処置の後であり、他の患者はホルモン処置を受けた。第2の血清試料を得るためにある。PAR1rp2ポリクローナル抗体の、第1のならびに第2の血清試料でのマーカーへの結合のレベルを測定した。コントロールとして、各時点で、健康な対象体からの2つの血清試料を用い、第1のコントロールはポリクローナル抗体だけと接触し(健康な対象体からの血清においてマーカーの存在しないことを確かめるため)、そして第2のコントロールはポリクローナル抗体およびペプチドPAR1rp2の混合物と接触した(マーカーが健康な対象体からの血清試料において実際に存在しないという、そしてペプチドの外的な添加だけによって、結合が起こるという証明として)。]
[0114] 結果は図4A-4Cにおいて提示される。具体的には、図4Aは処置に先立つガン患者からの血清試料がマーカーを含むことを示し(図4A)、一方で、処置後マーカーのレベルが著しく減らされる(図4B)。健康な対象体からの血清試料に関して(コントロール、図4C)、結合は、合成ペプチドが導入された時だけ検出された。結果がCTスキャンおよびマーカーCEA15-3のレベルを含む処置の有効性を測定するための慣習的な方法と相関した点に注目される。]
[0115] このように、ここに明らかにする方法はまた、病患進行レポーター(disease progression reporter)の平均を時間間隔での個々の患者のフォローアップ(追跡)のためにも用いることができる。このために、一旦対象体がガンで診断されるなら、マーカーのレベルが測定されることがあり、そしてこのレベルが対象体のガン状態の任意のフォローアップ分析のための参照点としても用いられる。]
[0116] 間違った結果が、例えば、既存の炎症により、または精神的外傷の結果として本発明による方法を用いて起こらないことを確かめるために、精神的外傷下の対象体におけるPAR1放出ペプチドのレベルが定められた。精神的外傷患者において、たとえペプチドのレベルが損傷後増加するとしても、一旦精神的外傷が改善されると、それが減ると仮定された。同じことは炎症で起こる。この仮説を証明するために、精神的外傷患者(例は、手術または負傷後)からの第1の血液試料が精神的外傷の日に集められ、そして血清におけるPAR1放出ペプチドのレベルはPAR1 rp2に対して生じるポリクローナル抗体を用いて定められた。精神的外傷が処置された数日後、第2の血液試料は同じ患者から集められた。図5A-5Cは、ガン患者(「C」、図5A)から、日1精神的外傷患者(「T」、図5B)から、腹部の精神的外傷(「3D」図5B)の3日後、そして次いで追加の3日の期間(損傷の6日後の合計「6d」図5B)後、同じ精神的外傷患者からの血液試料でのマーカーのレベルを示す。コントロールとして、健康な患者からの血液試料におけるマーカーのレベルが、合成ペプチド(「H」、「+H」、図5C)なしでか、またはそれを伴って用いられた。結果は、損傷の日において、PAR1放出ペプチドの高レベルが観察されたが(ガン患者のレベルと同様の)、損傷後3日で、そして損傷後6日でさえ、マーカーのレベルは劇的に低下したことを示す。]
[0117] 理論に束縛されることなく、炎症条件をもつ患者が同様なペプチドレベルのプロファイルを見せ、即ち、炎症状態の間、そのレベルは高く、しかし、一旦炎症が処置されるか、または軽減されるならば、ペプチドのレベルが劇的に減少することが予想される。
例4-病期の決定]
[0118] ここに明らかにする更なる局面は、ガンで診断される対象体におけるガンのステージの決定に関する。マーカーがすべてのガンステージにおいて検出されたこと、そしてマーカーのレベルがガンのステージの輪郭を描くのに用いることができることが見出された。具体的には、図6はマーカーがすべてのガンステージで、そして異なるレベルで検出されることを示す。これは、ガンの早期検出(ステージIまたはIIでさえ)ならびに各ステージでのプロファイリング、そしてその攻撃性または潜在的攻撃性に従うステージの特徴付けを許すことができる。このため、各ステージでの結合のレベルが、ステージの攻撃性に従い変動しうることが注目される。このようにして、例えば、マーカーの高いレベル(即ち、予め定められた閾値/参照点より統計学的に著しく高い)の病気のステージIおよび/またはIIは攻撃的なガンを指し示すことができる。]
[0119] 本発明は実例となる様式で記述し、そして用いられた専門用語が制限というよりもむしろ説明の用語の性質を帯びていることを意図されることを理解すべきである。明らかに、本発明の多くの修飾および変更は、上記の教示を考慮して可能である。したがって、添付の請求の範囲の範囲内で、本発明が以下に具体的に記載するように、よりむしろ他に実践されうることは理解されるべきである。]
[0120] これに関連して、上記の説明および以下の請求の範囲において用いられるように、形式「a(1つの)」)、「an」および「the(その)」には、単数形ならびに複数形の参照が含まれ、それはその関連で明らかにほかに指図しない限りにおいてである。例えば、用語「抗体」には、1またはそれよりも多くの複数の抗体が含まれる。]
[0121] さらに、ここで用いられるように、用語「含む」は、方法またはパッケージが復唱された要素を含むことを意味することを目的とするが、他を除外していない。同様に、「本質的になる」は、復唱された要素を含むが、ここに明らかにされた方法の実行上に本質的な重要性をもつことがある他の要素を除外する方法またはパッケージを定めるのに用いる。「からなる」は、他の要素の痕跡要素よりも多くの除外を意味するべきである。これらの移行用語(transition term)の各々によって定義される具体化は、この発明の範囲内である。]
[0122] さらに、すべての数値、例は、濃度または用量またはその範囲は、(+)または(-)を表示値から20%までによって、時々10%までによって変動する近似値である。たとえ常にはっきりと述べられないとしても、すべての数字表示に用語「およそ」によって先行されることを理解すべきである。必ずしもはっきりと述べられないが、ここに記載される要素が単に模範的であり、そしてそのようなものの等価物はこの技術において既知である。]
权利要求:

請求項1
対象体においてガンの状態を定める方法であって、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めることを含み、前記マーカーへの前記抗体の結合はガンの状態を指し示す、方法。
請求項2
対象体におけるガンの状態の重症度を定めるために、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めること、およびその結合のレベルを、PAR1放出ペプチドへの抗体結合のレベルをガンの状態の重症度と関連させる先立って定められた規準のレベルと比較することを含む、方法。
請求項3
対象体への抗ガン剤による対象体の治療上の処置の有効性を定めるために、PAR1放出ペプチドまたはそれから導き出されるフラグメントに対して生じる抗体の、2またはそれよりも多くの連続的な時点における前記対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合のレベルを定めることを含み、1またはそれよりも多くの時点は治療上の処置の間にあり、そのレベルでの違いは治療上の処置の有効性を指し示す、方法。
請求項4
前記PAR1放出ペプチドには、配列番号1で表されるようなアミノ酸配列が包含される、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
請求項5
前記PAR1放出ペプチドは配列番号1で表されるようなアミノ酸配列からなる、請求項4の方法。
請求項6
PAR1放出ペプチドの前記フラグメントには、フラグメントおよびPAR1放出ペプチドが最適に配列されるとき、前記PAR1放出ペプチドでの連続的なアミノ酸残基に対応する少なくとも5つの連続的なアミノ酸残基が包含される、請求項1〜5のいずれか1項の方法。
請求項7
前記少なくとも5つの連続的なアミノ酸残基はPAR1放出ペプチドでの5つの連続的なアミノ酸残基と同じである、請求項6の方法。
請求項8
前記フラグメントは、前記PAR1放出ペプチドでの1またはそれよりも多くのアミノ酸残基の保存的な修飾を含み、前記修飾は、アミノ酸の挿入、アミノ酸の欠失、アミノ酸の置換、アミノ酸の化学的修飾から選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
請求項9
前記修飾には、自然発生的なアミノ酸、非自然発生的なアミノ酸またはペプチド模倣の残基から選ばれる異なるアミノ酸残基による挿入または置換が包含される、請求項8の方法。
請求項10
前記フラグメントには、配列番号2、配列番号3で表されるような配列が包含される、請求項1〜9のいずれか1項の方法。
請求項11
前記フラグメントには、配列番号3で表される配列が包含される、請求項10の方法。
請求項12
前記マーカーはアミノ酸含有分子である、請求項1〜11のいずれか1項の方法。
請求項13
前記マーカーには、タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドまたはその組合せが包含される、請求項12の方法。
請求項14
前記マーカーには、PAR1放出ペプチドまたは前記PAR1放出ペプチドと前記流体試料に存在する少なくとも1種の他の成分との複合体が包含される、請求項13の方法。
請求項15
前記別の成分は前記流体試料に存在するタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドである、請求項14の方法。
請求項16
前記抗体は、単クローン性または多クローン性抗体である、請求項1〜15のいずれか1項の方法。
請求項17
前記抗体は配列番号3で表される配列をもつペプチドに対して生じる多クローン性抗体である、請求項16の方法。
請求項18
前記流体試料は、全血、血しょう、血清、羊水、脳脊髄液、腹水および尿からなる群より選ばれる、請求項1〜17のいずれか1項の方法。
請求項19
前記試料には、血液または血液成分が包含される、請求項18の方法。
請求項20
前記マーカーへの前記抗体の結合のレベルの決定には、前記レベルの定量的測定、前記レベルの定性的測定またはその組合せが包含される、請求項2〜19のいずれか1項の方法。
請求項21
前記先立って定められた基準は、ガンの規定された重症度をもつガン受動体の統計的に有意な群から得られる流体試料でのマーカーへの前記抗体の結合のレベルを測定することによって、または先の参照時点での対象体から得られる流体試料におけるマーカーへの前記抗体の結合のレベルを測定することによって定められる、請求項2〜20のいずれか1項の方法。
請求項22
結合のレベルと先立って定められる基準のレベルとの前記比較には、定性的な比較、定量的な比較またはその組合せが包含される、請求項2〜21のいずれか1項の方法。
請求項23
少なくとも1種の第1の流体試料は治療上の処置の開始に先立つ時点で採取され、および少なくとも1種の連続的な試料は処置の間の時点で採取され、少なくとも1種の連続的な試料で見せる結合のレベルにおける第1の流体試料について定められるものと比べての減少は処置が効果的であることを指し示す、請求項3〜22のいずれか1項の方法。
請求項24
少なくとも1種の第1の流体試料は治療上の処置の間の時点で採取され、および連続的な試料における結合のレベルでの第1の試料におけるレベルと比べての減少は処置が効果的であることを指し示すように、少なくとも1種の連続的な試料は第1の試料の時点の後で採取される、請求項3〜22のいずれか1項の方法。
請求項25
少なくとも1種の第1の流体試料は治療上の処置の間の時点で採取され、および少なくとも1種の連続的な流体試料は処置が中止された後の時点で採取され、1種またはそれよりも多くの第2の試料における結合のレベルでの1種またはそれよりも多くの第1試料と比べての増加は処置が効果的であることを指し示す、請求項3〜22のいずれか1項の方法。
請求項26
プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそのフラグメントに対して生じる抗体の、対象体から得られる流体試料内のマーカーへの結合を定めるためのパッケージであって、次の(i)プロテアーゼ活性化受容体1(PAR1)放出ペプチドまたはそのフラグメントに対して生じ、および前記流体試料において存在する場合に前記マーカーに結合することが可能な少なくとも1種の抗体、(ii)次の−前記マーカーへの前記抗体の結合、−前記マーカーへの前記抗体の結合のレベル、−前記マーカーへの前記抗体の結合のレベルと、PAR1放出ペプチドへの抗体結合のレベルをガンの状態の重症度と関連させる先立って定められた基準のレベルとの間の違い、−同じ対象体からの2つまたはそれよりも多くの連続的な流体試料における前記マーカーへの少なくとも1種の抗体の結合のレベルでの違いの1種またはそれよりも多くの決定用の前記少なくとも1種の抗体の使用のための指示書を含む、パッケージ。
請求項27
マーカーへの結合が可能な1種またはそれよりも多くの抗体が包含される、請求項27の診断上のパッケージ。
請求項28
1種またはそれよりも多くの追加の抗体は、PAR1放出ペプチドまたはそのフラグメントと複合体を形成するマーカーの1種の他の成分に対して向けられる、請求項26または27の診断上のパッケージ。
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